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2023年2月23日木曜日

増上寺 散策 その3

 「徳川将軍家墓所」のみの拝観料は500円。

青銅製の立派な「鋳抜門」の脇の通用口から墓所内へ入ります。

40メートル四方ほどの場所に8つの宝塔があります。
1つずつ見て歩いていると背後でボランティアのおじさんが
「説明を始めるので、よろしかったらどうぞ!」って。


聞きましょう。


徳川将軍は全部で15人。

初代 家康さんは日光の東照宮に神様として祀られています。
3代 家光さんは祖父の家康さんが大好きで、同じく日光の輪王寺 大猷院に。

最後の15代将軍 慶喜さんは大政奉還をして将軍職を辞してから亡くなっていることと、
明治天皇を慕っていたため仏式ではなく神式で、明治政府が作った谷中霊園に眠っています。

残る将軍は12人。

列挙すると...
初代 家康=日光東照宮
2代 秀忠=増上寺
3代 家光=日光 輪王寺大猷院
4代 家綱=寛永寺
5代 綱吉=寛永寺
6代 家宣=増上寺
7代 家継=増上寺
8代 吉宗=寛永寺
9代 家重=増上寺
10代 家治=寛永寺
11代 家斉=寛永寺
12代 家慶=増上寺
13代 家定=寛永寺
14代 家茂=増上寺
15代 慶喜=谷中霊園

となり、増上寺寛永寺と交互に埋葬されております。

徳川家の菩提寺は浄土宗増上寺なので全員がこちらに埋葬されると思いきや、
そうはいきません。

江戸幕府創建時に家康の側近として多大な力を発揮した天海というお坊さんがおりました。
一説には信長を倒した明智光秀ではないかと言われている人です。

この坊さん、天台宗の僧で家康、秀忠、家光は浄土宗から天台宗に改宗してます。

で、江戸に天台宗の寺を建てようってことになって出来たのが上野の「寛永寺」。
創建当時はこれまた広大なお寺でした。
(現在は上野の公園や博物館、美術館、動物園、大学になってますな)

家光の遺志で葬儀は寛永寺で行われ日光へ。
家光の長男、4代 家綱以降も寛永寺との関係が強く上野に埋葬されます。

が、そもそも徳川家菩提寺の増上寺が大反発!
以降、増上寺寛永寺の交互に埋葬するってことで決着したそうな。


増上寺の話に戻って。

墓所中央にある旧・増上寺の配置図を見ながら。
(右方向が北になります)

もともとは広大な増上寺の敷地に、先ほど模型で見たような壮麗な霊廟(御霊屋=おたまや)が、将軍が亡くなる都度、建てられていたそうな。

最初は配置図の左側(南側)のピンク部、2代将軍 秀忠の霊廟。
現在は「ザ・プリンス パークタワー東京」の建つところ。

続いて6代 家宣、7代 家継の御霊屋は配置図の右側(北側)のピンク部で、
現在は「東京プリンスホテル」が建っています。

この頃、江戸幕府の財政状況はそこそこ裕福で、立派な御霊屋を建てておりました。

んが、7代 家継の子がことごとく早世してしまい、2代 秀忠から続く徳川宗家は絶え、
代わって呼び出された紀州徳川家の吉宗さんが8代将軍となり、
財政立て直しのため御霊屋の建設を中止します。

よって9代 家重、12代 家慶、14代 家茂は配置図の右側のもともとある霊廟に
埋葬されることとなりました。

仏教では西に極楽浄土があるとされているので、全ての「門」は東側。
宝塔は西側に配されておりました。

時は経ち....

1945年(昭和20年)。
戦災で増上寺のほとんどの建物が焼失。
徳川将軍家の霊廟も焼失、荒廃したままの状態でしばらく放置されていたのだそう。

戦後復興も進み、焼失から13年後の1958年(昭和33年)に各墓所の学術調査が行われ、
土葬されていた遺体は荼毘に付され、焼け残っていた宝塔を現地に移設し改葬されました。

が、2代将軍 秀忠さんの宝塔は木造だったため焼失。
石造で焼け残った継室「お江さん」の少し小振りな宝塔におじゃまさせてもらっています。

8つの宝塔のうち6つは石製ですが、6代 家宣さんと和宮さまのは青銅製。

この墓所の「鋳抜門」も元は家宣さんの霊廟にあった中門で、こちらに移築されたもの。
当時は財政的にも裕福で、高価な青銅製のものが作れたんですって。

また14代 家茂の正室で、公武合体策によって降嫁した和宮さまの宝塔も青銅製で一際立派。
菊の御紋が各所に施されています。

また、もともと御霊屋があった敷地は戦後、西武の堤さんが取得し、
東京オリンピック開催に合わせて世界レベルのホテルとしてプリンスホテルが作られたんですって。

事前にいろいろ調べていましたが、それ以上の興味深い話を聞くことが出来、
ボランティアさんには感謝感謝でございました。


まだまだ続く。

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